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【「会費」の課税区分(消費税)】

消費税の課税区分を考える時、会費で迷うことはありませんか?

基本的には「資産の譲渡等」に該当しないため、消費税とは関係の無い「不課税取引」に該当するということはわかってはいるのですが、

・ 1,050円みたいな、明らかに税込金額で設定されていると思われる会費、
・ 会費を支払うことによってクレジットカードが利用できる会費、

会費と一重に言っても、その内容は「資産の譲渡等」に該当するのでは?って思わせる会費って結構ありますよね?

会費の課税区分を明確にするため、以下通達文章を引用します。

消費税法基本通達5−5−3(会費、組合費等)

同業者団体、組合等がその構成員から受ける会費、組合費等については、当該同業者団体、組合等がその構成員に対して行う役務の提供等との間に明白な対価関係があるかどうかによって資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するのであるが、その判定が困難なものについて、継続して、同業者団体、組合等が資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、かつ、その会費等を支払う事業者側がその支払を課税仕入れに該当しないこととしている場合には、これを認める。

(注)
1 同業者団体、組合等がその団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用をその構成員に分担させ、その団体の存立を図るというようないわゆる通常会費については、資産の譲渡等の対価に該当しないものとして取り扱って差し支えない。

2 名目が会費等とされている場合であっても、それが実質的に出版物の購読料、映画・演劇等の入場料、職員研修の受講料又は施設の利用料等と認められるときは、その会費等は、資産の譲渡等の対価に該当する。

3 資産の譲渡等の対価に該当するかどうかの判定が困難な会費、組合費等について、この通達を適用して資産の譲渡等の対価に該当しないものとする場合には、同業者団体、組合等は、その旨をその構成員に通知するものとする。

通達においては明白な対価関係を重視しています。
読み方としては明白な対価関係が認められる会費については原則不課税の会費を例外的に課税と認めると読むのが自然に思えますので、その明白な対価関係があるか否かのみを見ればよいと思います。

くどいですが、一番大事なのは「明白」か否かだと思います。
明白でないものは対価関係を認めない考え方からも原則不課税というのが読み取れると思います。

例)
・明らかに税込金額と思われる回避(1,050円、6,300円等)
→価格と対価関係は無関係、なので、これは判定とは無関係です。

・クレジットカードの年会費
→会費を支払って、クレジットカードが利用できる、これは明白な対価関係がありますね、課税取引です。

・通常会費とは別に、花見のための特別会費
→特別会費を支払って花見が出来る、これは花見という明白な対価関係が認められますね、課税取引です。ただし、交際費類似取引として法人税別表にて別表調整が必要と思われます。

・年に数回会報が送られてくる会への通常会費
→年に数回の会報と支払う会費との対価性を考え、明らかに会報の量と比し会費が高額であると考えられるのであれば、会費の支払と会報の取得との間に明白な対価性は認められないと考えるのが自然だと思います。不課税取引であると考えられます。
その他、判定が困難なものについては原則の不課税と捉えるのが合理的だと思います。

・会費を支払うことによって同業者団体の会合に参加できる会費
→会合参加には明白な対価性はないと考えるのが合理的(会合参加は事業目的とは無関係であると思われるため)だと思いますので、原則の不課税取引です。


その他色々な種類の会費があると思いますが、明白な対価関係と判定困難は不課税の2点より、課税区分を合理的に判定していただくのが良いと思います。

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