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【リース資産の減価償却考察と注意点(法人税)】


1.契約時等の処理の違い

法人が平成20年3月31日以前に契約したリース契約については原則賃貸借取引として支払時費用計上の処理をしていましたが、平成21年4月1日以後契約分については、原則売買取引として、減価償却により費用計上する処理となりました。

国税庁ホームページ(リース取引)

これを仕訳にするとこんなに違います。

(平成20年3月31日以前契約分)
契約時 仕訳なし
支払時 リース料 xxx / 現預金等 xxx
年度末 仕訳なし

(平成20年4月1日以後契約分)
契約時 リース資産 xxx / 長期リース未払金 xxx
支払時 長期リース未払金 xxx / 現預金等 xxx
年度末 減価償却費 xxx / リース資産 xxx

2.税法上の注意点

一番注意すべき点は消費税の仕入税額控除の額が全く違います。
既存のリース契約の場合、リース料合計が仕入税額控除の対象となる課税仕入れでしたが、新しいリース契約の場合、契約時のリース資産に計上される額が課税仕入れとなりますので、消費税の額は大きく異なることとなります。

既存のリース契約の場合のリース料年額と新しいリース契約の場合の減価償却費の額が基本的には一致するので、それも確認事項だと思います。

既存のリース契約の場合、リース料総額をリース期間で均等按分して支払をするのが一般的だと思います。
新しいリース契約の場合、リース料総額をリース資産として計上し、リース期間にて月数按分するのが一般的だと思われますので、結果的にどちらもリース料総額を月数按分して算出するものであるため、一致するケースが非常に多いです。

また、償却の額が一致すればリース資産残高と長期リース未払金の額も一致するケースが多いことになりますので、これもチェック事項に入れておきましょう。

3.再リースの取り扱い

そのリース取引を賃貸借取引とするか売買取引とするかの取り扱いについては国税庁ホームページをチェックすることとして、再リースについてどう考えるか?を考えてみたいと思います。

答えは実質判定です。
再リース時においての実態を見て、売買取引に該当するものであれば平成20年3月31日以前当初契約のものであっても、売買取引として新基準を取り入れる必要があります。

4.中古取得の取り扱い

中古取得のリース資産の耐用年数は?という問題です。
基本的にはリース資産はリース会社のものであるため、リース資産を売却することも、中古で購入することも、なかなかないとは思うのですが、同族関連会社間での資産等の移転は何でもありなので、こんなことが起こりうるケースも想定できます。

通常の固定資産であれば、中古取得資産の耐用年数の算出方法等があります。(国税庁ホームページ参照)

リース資産の場合はこの中古取得の耐用年数を使ってしまっても良いのでしょうか?

現況、調べた結果、リース中古の耐用年数を記載する文章を見つけることが出来ませんでした。
ただし、リース資産はリース期間定額法という手法を使って減価償却をする資産でありリース期間低額法はリース期間に渡って償却をするという手法であるため、例え中古取得であれど、中古取得資産の耐用年数を使わず、リース期間に渡って償却をするのが合理的ではないかと思います。

なので、リース資産とリース長期未払金のバランスは中古取得であれど、保たれるべきではないでしょうか?
リース資産とリース長期未払金のバランスの兼ね合いを考えると、一括償却等も行わないのが妥当なのではないかと、個人的には思います。

正直、固い意見を言えないのが恥ずかしいですが。。。。。

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