【個人住民税について(地方税)】
1.住民税とは?
住民税とは住民であることに対して課される税金です。
なので、法人住民にも、個人住民にも住民税は課されます。
ここでは個人の住民税のみを取り上げて、どのように住民税が計算されているのか等をざっくり説明します。
2.個人住民税の計算方法
基本的に均等割と所得割2つを合計した額が個人住民税の額となります。
均等割:所得等に関係なく、均一に課される部分です。一般的に道府県民税1,000円、市町村民税3,000円の計4,000円であるようです。ここの市町村は住民税が高い、とか言うのはここの均等割部分が大きくなっているはずです。
所得割:課税所得金額に一定割合を乗じて求める部分です。こちらの部分によって、低所得者と高所得者とで税額が変えられています。
所得割については道府県民税が4%、市町村民税が6%の計10%が税額となります。
所得税と住民税とで同一であればあっさりと算出できるのですが、所得税額計算上の課課税所得金額とのズレがあるので、以下記載します。
3.所得税と住民税の計算根拠の差異
以下表にしてみます。
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所得税 |
住民税 |
対象所得期間 |
当年 |
前年 |
課税方法 |
申告納税方式 |
賦課課税方式 |
納付方法 |
事業者:確定申告期限
給与所得者:年末調整等にて完了 |
普通徴収と特別徴収の選択 |
所得計算方法 |
所得控除額について、若干住民税の方が低く設定されている。 |
一番大きな差異としては対象所得期間です。
所得税は当年分を当年計算するのに対し、住民税は一年遅れで計算することとなります。
なので、入社初年度は住民税がないため手取額が多く、入社2年目以降初年度よりも手取りが安くなるという逆転現象が起こるのです。
その他課税方法については、所得税は国税であるため、原則の申告納税方式、事業者については確定申告、給与所得者については原則年末調整により事業主が計算をし、納税額を確定させる訳ですが、住民税については所得税の計算を元に、市町村が勝手に計算してくれます。
4.普通徴収と特別徴収
給与天引きで住民税を支払うか?それとも各自納付書を持って支払うか?というのを選択できるようになっています。
ちなみに住民税の普通の納付方法は各自納付書を持って支払う方法、普通徴収の方法です。
普通徴収の場合、6月、8月、10月、翌年1月の年4回が納期限となりますが、一括払いとすれば前納報奨金として、早く払った分の金利としてちょっと安くなる制度がありましたが、それは徴税の公平性の観点から廃止の方向らしいです。
特別徴収とは会社が徴収事務を代行し、給与天引きとする方法です。
給与所得者が馴染み深いのはこの特別徴収の方法だと思いますが、一応こっちが特別という名の徴収方法となってます。
5.所得税と住民税の所得控除の違い
例えば所得税の基礎控除額が38万円であるのに対し、住民税の基礎控除額は33万円であるとか、ちょこっとずつ所得控除額に差異があります。
詳細についてはこちらにて表にしてありますが、まぁ単純に前年の所得税の課税標準額に10%を掛けても住民税の額と一致しないということを知っていただければ良いと思います。
6.その他事項
税率についてですが、譲渡所得があった場合は上記4+6%ではありません。
長期譲渡所得については、2+3=5%となります、その他譲渡所得の特例について、税率が異なるため、譲渡所得がある場合の住民税計算はちょっとだけ面倒です。
・所有期間5年超の優良宅地等の譲渡所得
2千万円以下部分:1.6+2.4%=4%
2千万円超部分:2+3%=5%
・居住用財産の譲渡所得
一定の計算式により算出
・短期譲渡所得
3.6+5.4=9%
・国等への譲渡所得
2+3%=5%
詳細については各自治体担当者に確認していただくのが最良と思われます。
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