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【「償却資産申告書」について(地方税)】


1.償却資産申告書とは?
償却資産申告書とは償却資産税を算定するに当たって、基礎資料を市町村に提供するための申告書です。
償却資産税とはその年1月1日において所有する固定資産について課せられる税で、固定資産税と共に課される税です。
償却資産税は市町村民税に該当するものです。

ざっくり言えばここで申告した金額に1.4%を乗じた金額が償却資産税額となります。


2.償却資産の範囲
大まかに言えば会社の固定資産と同一ですので、会社の固定資産と異なる点をメインに説明します。

・土地、家屋、車両等は償却資産申告書の範囲外
→土地、家屋等は別途固定資産税が課せられるため、車両については別途自動車税が課せられているため、適用の範囲外となります。
 これは土地、家屋、車両等は購入の際、別途国に登録をしているため、国はその所在等を把握することができるため、別途申告してもらう必要もありませんし、別課税をするのです。
 逆にアスファルト等の構築物、機械装置等は国に登録をしていないため、償却資産申告書にて、事業者の申告を必要としているのです。

・取得価額が10万円未満のもの、耐用年数が1年未満の固定資産
→少額ですし、法人税法上も一括経費算入されるものですので、範囲外となります。

・取得価額10万円以上20万円未満の固定資産で、一括償却資産であるもの
→実務上、一括償却資産が好まれるのはこれが理由でしょう。
なお、30万円未満の中小企業者の少額減価償却資産の即時償却を選択した場合は、償却資産申告書の対象とされます。

・無形固定資産、繰延資産は範囲外です。
両方とも実態を有さない権利や効用等を数値化しただけのものであって、実際にその場にあるものでもないからです。

また、注意点としては建設中の建設仮勘定も償却資産申告の対象となります。事業の用に供するか否かは関係なく、その年1月1日に所有してるかどうかが問題となるからです。
償却済資産、遊休資産等も上記の理由により、申告が必要となります。

3.法人税法との違い
圧縮記帳や特別償却は認められません、これらはあくまでも国税政策上のものであって、地方税である償却資産税には該当しないもののようです。
また償却期間経過後の残存価額は1円、ではなく取得価額×5%です。これも単に国税と地方税の違いから来る差異です。
ちなみに増加償却は認められます。
なんででしょうね。。。。。

3.免税点
課税標準額という課税の基礎となる価格が150万円未満であれば、償却資産税は課せられません。


4.その他申告に際しての注意点
償却資産申告書は税理士の署名を不要とする申告書ですので、自社で出来るのであれば、自社でやることも容易です。
自社の固定資産の増減を暦年単位で把握し、そこから土地、建物、車両を除いて申告してあげるだけです。
固定資産の簿価については帳簿上の簿価ですので、減価償却等の手間も要りません。

まぁやっていただけるのであれば税理士事務所等に頼んでやってもらうのが安全だとは思います。

5.申告期限と納期限
その年1月1日において所有するものをその年1月31日までに市町村に提出する必要があります。
市町村民税は賦課課税方式を採用しているため、ちょっとくらい遅れたって大丈夫、かも知れませんが、期限が区切られたものは一応、期限内に出すことをお勧めします。

また、納期限は通常4回、6,9,12月、翌年2月というケースが多いと思います。一括納付ももちろん可能ですし、口座振替も可能です。


最後に、償却資産申告書の書き方ですが、各自治体によって多少の差異はあると思いますが、東京都のホームページに良いマニュアルがありますので、こちらを参照していただくのが良いのではと思います。

平成21年度 固定資産税(償却資産) 申告書等の記載方法

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