税理士試験 相続税法 個別論点(債務控除)
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無制限納税義務者
(+国内住所特定納税義務者) |
制限納税義務者
(+国外住所特定納税義務者) |
相続・包括遺贈 |
全ての債務・葬式費用 |
特定債務のみ |
放棄 |
葬式費用のみ |
全てダメ |
上記表を覚えればOKな訳ですが、根拠条文等も載せます。
・債務控除の基本となる法規
(相続税法第13条)
1項:相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。以下この条において同じ。) により財産を取得した者が第一条の三第一号(居住無制限納税義務者)又は第二号の規定に該当する者(非居住無制限納税義務者)である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
二 被相続人に係る葬式費用
→一、二にて列挙しているものが債務控除の対象となる債務の全てですので、全ての債務・葬式費用を控除できるということです。
2項:相続又は遺贈により財産を取得した者が第一条の三第三号の規定に該当する者(制限納税義務者)である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産でこの法律の施行地にあるものについては、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から被相続人の債務で次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 その財産に係る公租公課
二 その財産を目的とする留置権、特別の先取特権、質権又は抵当権で担保される債務
三 前二号に掲げる債務を除くほか、その財産の取得、維持又は管理のために生じた債務
四 その財産に関する贈与の義務
五 前各号に掲げる債務を除くほか、被相続人が死亡の際この法律の施行地に営業所又は事業所を有していた場合においては、当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の債務
→一から五に該当しないものについては控除できないのです。一から五を単純化すれば取得財産との紐付けということです。紐付けがなければ控除することができません。
・放棄者が葬式費用のみを控除できる訳
(基本通達13−1)
相続を放棄した者及び相続権を失った者については、法第13条の規定の適用はないのであるが、その者が現実に被相続人の葬式費用を負担した場合においては、当該負担額は、その者の遺贈によって取得した財産の価額から債務控除しても差し支えないものとする。
→社会通念上、相続を放棄したとしても、支出した葬式費用については控除対象としようじゃないか?という考え方です。
・疑問点
制限納税義務者について、葬式費用が控除対象とならないのはなぜ?
→相続を放棄した者は法13条の対象外である者なのに、放棄者でさえ控除できる葬式費用が制限納税義務者では控除できないのはなぜでしょう?
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